三文よりもたくさん
すっかり日の出がはやくなり、毎朝すごく気持ちよく目が覚めるようになった。
実家で暮らしていた時、一人で暮らしていた時、結婚して夫婦で暮らしていた時・・
いつだって私は寝坊助で、いつまでも寝ていたかった。
とにかく眠たくて、休みの日なんかお昼過ぎにやっと起きるような生活をしていた。
ところが、この一週間程は朝5時ごろに目が覚めるようになった。
光が苦手で、寝室は遮光カーテンを付けているのだけれど、子供が生まれてからは「朝の陽ざしを浴びた方がいい」とかなんとかでカーテンを開けている。
そうすると、ちょうど朝の陽ざしが差してくる寝室はすごく明るくなる。
そしてなんとなく目が覚めて時計を見ると【5:16】あたり。
今までの生活であれば、間違いなく損した気持ちになりもう一度お布団を被るのだけれど、先日目が覚めたときに、なぜか『このまま起きてみよう』という気持ちになった。
ベッドから出て、顔を洗い、お化粧をする。時間に余裕があるから髪を少し巻いてみよう。
キッチンに行き、窓を開けたら風が入ってきた。緑のにおいがする風。新緑の季節だ。
陽ざしはまぶしいくらいだけれど、気温はまだひんやりしている。薄い長そでのパジャマだとほんのり肌寒いくらい。
外は鳥の声が聞こえるくらいで車もまだ通らない。
静かだから音楽を聴こう。今度練習する曲にしようかな。itunesでDLしたばかりのPentatonixのStayを選び再生ボタンを押す。
いつもより一時間早くから夫と私のお弁当を作り、朝ごはんを用意する。
作り終えて時計を見ると6時。
まだ6時。
起きてから1時間近く経っているのに6時。いつもならまだ寝ている時間だ。
家を出るのはだいたい8時前だからまだまだ時間がある。
ちょうどゴミの日だからもう出してしまおう。
さすがにパジャマでは出られないから、着替えてゴミを出しに行った。
家に戻ってきて、そのまま中に入らずに花に水をやる。
たくさん咲いていたフリージアもほとんど花が落ちて、クレマチスも花びらがそこら中に散っていたからほうきで集めた。
家の中に入り、なかなか消化できないドラマ録画を再生した。
久しぶりにソファに座り、Twitterを見ながらだらだらとドラマを見る。
ドラマを見終わるころに、寝室から夫と子供の声が聞こえてきた。
こうして私の一人タイムが終わりを告げたのだ。
早起きは三文の徳というけれど、うまいこといったもんだなぁと思う。
三文はだいたい今でいう100円ほど。
ものすごいうれしい金額というわけではないけれど、部屋の片づけをしていて見つけたらちょっとうれしい。
この日の私はちょっとうれしい朝を過ごし、髪もお化粧もうまくできたのも相まって一日中とても気分がよかった。
私にとっては三文の徳以上だった。
おしまい。
読んでくれてありがとう。